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ゲキ×シネ『蛮幽鬼』を観て欲しい

2017年6月30日に、映画・チャンネルNECO放送にて蛮幽鬼が放送されるらしい。

映画チャンネルNECO

 

やったー!嬉しい!すごくおもしろいのですよ蛮幽鬼。なのでおすすめさせていただきたい。めちゃくちゃに観てほしいです………みて………………。

映画『ゲキ×シネ 蛮幽鬼』予告編 - YouTube

予告編です。ちょうかっこいい。音楽聴くとぶわっとくる。

ゲキ×シネって予告編がどれもすごくいいんですよね…観はじめると止まらなくなっちゃう。特に『髑髏城の七人』は予告編を観るだけでわくわくして、かっこよくて、だいすき。小池さん美人すぎるよ〜〜〜

今さらとっても書きづらいのですが、わたしは劇団☆新感線さんの作品もゲキ×シネ作品も全て観たわけではありません。しかも観た作品は全て映像。あの、あの、だから、このログを書くこともおこがましいのですけれど、これで少しでも蛮幽鬼に興味を持ってくれた人がいたら嬉しいな〜〜〜〜〜という気持ちのまま個人的な主観も交えて書きます。茶の間のくせにというもうしわけないきもちはある。すみません。でも書きます。書きたくなっちゃったから。もうしわけねえ。核心に触れない程度のゆるーいネタバレはあります。

 

そもそもゲキ×シネとはなんなんだ?????ってところですよね。ゲキ×シネとは、演劇×映像のことです。そのままその通り、劇場でやった公演を映画としても観ることができるよといった画期的なジャンル。舞台であり、映画。こんなこと言うとめっちゃ怒られそうだけど、想像以上に、映画です。カ…カメラワーク!!!!!!ってなります。舞台上でやっているものを収録してるなんて忘れてしまうほどに。はじめての人はびっくりするとおもいます。まず舞台装置の規模のでかさと、劇団☆新感線さんの力が相まって迫力が…すごい。はじめてみたときはぞっとしました。なんなんだこれは…と、体はスクリーンの前にあるのに五感はあの演舞場にいました。かんぜんに。しはいされていた。このゲキ×シネというものは、生のお芝居の良さと映画としての良さを二段階で楽しめるという優れたコンテンツなのです。ほんとうに、すっごく、たのしいんだ、ゲキ×シネ。

というかあんなにしっかりした舞台装置を作っておいて次から次へと場転ができる作品自体多くないのでは…?他のゲキ×シネ作品を観た時は大量の水を使って滝〜!ってしてたりとか…装置以外のところでも、矢が飛んできて人に刺さったり、いきおいよく血飛沫があがったりとか。わたしは舞台に関しては演劇部程度の知識しかありませんが、それにしたってすごいとおもう。どうなっているんだかいまだによくわからない。あまりにも、あまりにもすごい。血飛沫て。

 

では蛮幽鬼のはなしをします。脚本は中島かずき先生。最初は仮面ライダーフォーゼを書かれていた方だなあという印象しかなかった。蛮幽鬼を観てガラッと印象が変わりましたけどね!中島せんせいこわいです。当たり前ですけれど、予告編を観ても分かるようにテイストはまったくフォーゼではありません。友情?そんなものは…あってないようなもの、なんてね。もしかしたらあったのかもしれない。なかったのかもしれない。観る人によって、それぞれ見つけられたり見つけられなかったり、するかもしれない。宇宙はキません。

簡単に説明いたしますと、これは復讐劇です。舞台は鳳来国という、遠い日本のようでどこか違う、架空の国。物語はお隣の果拿の国から始まります。とある事件で無実の罪を着せられた主人公・伊達土門が、獄中で出会ったサジと名乗る男の力を借りて復讐を果たしていく…という。そんなおはなし。正直めっちゃ泣く。どうして…ってそんな気持ちでいっぱいになります。とりあえずみよう。それしか言えない。

それから、なんといっても殺陣。殺陣がすごい。息を呑むとはこのことだなあと、ほんとに観ていて気持ちいいくらい綺麗です。がんがんと剣を振るうのではなくさらさらと流れるように、まるで舞い踊るかのように剣を滑らせる早乙女太一の美しさ。芸術品かな?うっかり落ちかけました。この当時まだ10代だったなんて信じないからな早乙女太一!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(中学生のころの)体育の成績が2だったことに定評のある推しとの殺陣シーンをありがとうございました。推し推しでさいこうに素敵でした。いつもです。

 

それではキャラクター紹介。しつこいようですが、核心に触れない程度のゆるいネタバレを含みますのでご注意くださいね!主観も少し。

 

伊達土門/飛頭蛮(演:上川隆也)

だてのどもん。もしくは、ひとうばんさま。今作の主人公です。かなしいおひと。どちらかというと、土門と、呼んであげてほしい。

彼は、果拿の国に留学している最中に、親友である京兼調部が何者かによって殺されるという事件に居合わせてしまいます。もちろん土門はなにもしていません。しかしその罪を着せられて監獄島に幽閉されてしまうんですね。これが物語のはじまり。持ち前の頭の良さから果拿の国では有望視され、母国である鳳来には婚約者がいました。そんなおひとが突然未来をうばわれたのだから序盤からなんなんだってくらいしんどい。土門がなにをしたっていうんだ。なにもしてないんだよ。くそう。そして土門は、自分を嘘の証言で陥れた音津空麿と稀浮名、そして、親友を殺した何者かへの復讐を誓います。

幽閉されて10年、ぞろぞろとのびた髪は白に染まっていました。まるで人が変わったかのように。…つらい。土門はこの10年間ずっと、どこからか聞こえる声に導かれ、匙で穴を掘り続けていました。看守の目を盗みながら。そしてついに出会った声の主は「サジと呼んでくれ」と言ったので、土門は彼をサジと呼ぶことにし、行動を共にします。

ペナン、ガラン、ロクロクといった仲間も加わり、なんとか鳳来国に戻ってきた土門は復讐を果たすための計画をちゃくちゃくと進めていくのですが、かつての婚約者だった美古都と再会したり、国の裏で密かに動いている権力者たちの陰謀に巻き込まれたりと、色んなことがおこりすぎて、すこしずつ、すこしずつ、なにかが狂っていきます。土門ってすごく頭が切れる人なんですけれど、ときどき、なんでそんな風にしか考えられないの…?と、おもうことがあります。そうさせられていたのかもしれない。それと、なんでも自分にとって害悪になることしか考えないようにしていたのかな、と。自分に害をなすものがいなくなってしまったら、復讐ができなくなってしまうのだから。ほんとに、どうしようもなく、かなしいおひと。土門の望む結末ってなんだろう。

彼が持つ飛頭蛮という名がなにを意味するのかは、やっぱり観て、しってほしい。

 

サジと名乗る男(演:堺雅人)

劇中の登場人物やファンからはそのままサジと呼ばれています。みんな大好きサジたん。キャストロールの一番下に名前がある彼は、土門と並んで主役といっても差し支えないくらい重要なお役柄なのです。

で、どんな人なの?というと、このサジと名乗る男というのは、にこにこしながら人をころす暗殺者なんですね。剣でも槍でも、指でも、はたまた匙でも。この世にあるもの全てが彼の武器になってしまう。彼を監獄島に幽閉するために1000人の捕手が犠牲になったらしい。まじかよ。実は彼、狼蘭族というころしを生業としている一族のうまれなんだとか。こどもの頃から人をころす技術を教えられ一流の暗殺者として育てられる。聞いていると、なんだか色んな掟があったり、他の中島せんせいの作品にも狼蘭族が出てきたりと、知れば知るほど深みにハマっていく狼蘭。そんな狼蘭族である彼は、監獄島で出会った土門にこう言います。「今日まで君はこの匙で土を掘って道を作った。だがこれからは、ぼくが君の道をつくる」だから自分をサジと呼べと。そういうことだそうです。

狼蘭の掟にしたがって、族長含め一族を皆殺しにしちゃったため「狼蘭の悪魔」なんて呼び名がついて世界中の狼蘭族から恨まれてるのだとか。あまりにもにこにこしながら人をころすので「頼むから殺す時くらい厳しい顔してくれ」とよく言われるらしい。土門にも「そんな爽やかな笑顔の殺し屋見たことがない」と言われるほど。でも、できないんですよね。厳しい顔して人をころすなんてできない。ずっとこうして生きてきたから。そういうセリフもどこかにあります。できないんだもんね、しかたないよね。あの笑顔の裏にどこかせつないような、そんなようなものを抱えていそうな、そうでもないような、それがサジ。わたしの推しです。長髪のさかいさんめっちゃかわいい。推しが「ころすよ?(笑顔)」なんて言う役を演じているというしあわせ。

 

京兼美古都(演:稲森いずみ)

きょうがねみこと。果拿の国で殺された京兼調部の妹であり、土門の婚約者…だったおかたです。とってもきれい。

果拿の国に留学していた土門とお兄様が5年ぶりに帰ってくる…!わくわくしながら港で彼らを待っていた美古都に知らされるのは「土門が調部を殺した」という事実。…心中お察しします。こんなことってないよ。彼女が血のにじむ思いをしながら成長していく様子がすごく、すごく、ぎゅってなります。心をころして、自分の為せることをやろうと、国のためにと必死に戦う姿はとってもかっこいい。ただの護られるだけのヒロインではありません。

蛮幽鬼の挿入歌である『一滴の愛』は、美古都さま目線で書かれた歌詞だそうです。これがほんとに、ほんとに、ほんとうにくるしい。「どうして人は争い悲劇を繰り返すのでしょう 愛が生まれた同じ場所で憎しみだけを育てて」だとかなんかも〜もおお〜〜〜〜ってかんじじゃん…「あなたが私が恨む前にせめて涙一滴の愛に濡れてください」と歌った後に、劇中には流れない続きの歌詞があるんですけど、「まだ信実だから」って。こころがいたい。まだ…。まだ、しんじつ、なんですよ。エンドロールでフルが聞けたかな?たしか。ぜひ歌詞をきいてほしい。

 

方白/刀衣(演:早乙女太一)

かたしろ、といえば、芸の上達を願い踊りの神に願掛けてその舌を切り言葉を絶ったとのことで有名な踊女。その正体は、美古都さまに忠誠を誓う、とうい、という美青年。美古都さまに負けないくらいお美しいです。

実は彼も、サジと同じく狼蘭族のひとり。鳳来国に流れ着き、美古都さまに命を救っていただいてから彼女を護ることを使命として生きている、そんなかっこいいおひとです。鳳来という彼にとってはまったく縁もゆかりも無い異国で美古都さまと出会い、サジとは違った生き方を見つけた狼蘭族。護りたいものと出会ってしまった狼蘭族というのは、しあわせなのか、ふしあわせなのか、どうなのでしょうね。なにはともあれ、刀衣とサジの最後のシーンをみてほしいです。刀衣の言葉はかなり、クるので。

 

音津空麿(演:粟根まこと)

おとつのからまろ。空麿も果拿の国に留学していたひとりであり、調部がころされた時に「土門が調部を殺したところをはっきりと見た」と、浮名と嘘をついたのもこの人。土門を陥れて手に入れた地位は学問頭?というのかな?

小悪党感が否めない。でもやっぱり、だれだって空麿のようなところってあるよね、とおもうと、彼もすごーーーく人間だったなあなんて。空麿の父上とともに注目しておいてほしい人物です。これが人間だ。

 

稀浮名(演:山内圭哉)

キャーうきなさま〜!!!!!!!!!!!!すきです。同じく土門と果拿の国に留学していたひとり。空麿と共に土門を陥れた張本人。鳳来国に帰国してからは右大臣の地位について政権に関わっていました。

酷いことしてるけどふしぎと憎めないコーメーセーダイなる右☆大臣さまです。その凄まじき殺気はあのサジでさえも思わずうちかかってしまうほど。浮名も空麿もそうですが、悪党になりきれない、なる覚悟もない、そんなかんじかなっておもいます。そういうところが味があってすき。というかこの人はまだどこかに良心が残っていそうな気さえする。きのせいか。

 

稀道活(演:橋本じゅん)

大連、きのどうかつさま。浮名のお父様。「大王の次に偉い」が地雷なのでそっとしておいてあげてください。

いかにも悪役!みたいなものすごいメイクをしておられますし、まあぶっちゃけあくどいんですけど、うーん、なんと言ったらいいのか、とても人間です。血のかよった、とっても人間。とりあえずこのおかたの最後のシーンに刮目しておいてください。あそこのセリフがだいすき…。この世から争いがなくならないのってこういうことなんですよね、きっと。きっとどこかで誰かが悪役にならないといけないのかもしれない。ほんとうの英雄には、良心なんて必要ないのかもしれない。そんなふうにおもいました。ポエム。

 

ペナン(演:高田聖子)

名前から分かるように、鳳来国とは違う、異国人なんですけれど、ペナンもまた、とても重要な役どころで、とあるきっかけとなったおひと。なにとは書きませんけれど。ずっと土門のそばにいてくれている支えのようなおひとです。

 

遊日蔵人(演:山本亨)

あすかのくらんどさま。かつて土門と友人だったおひとです。武士頭?という役職なのかな?個人的にめちゃめちゃ好きなので、いつも贔屓してしまう。

きっといちばんに気がついた人。なにとは書きませんけれど。蔵人はどこかでずっと土門を信じていたのかもしれない、とか。人間くさくてすき。すっごくいい人です。この人のことを考えると、どうして…って気持ちがつよくなる。すぐそこに死んだと思っていた友人がいるのに、もう元の関係には戻れないってしんそこつらいですよね。わたしは耐えられないとおもう。

 

京兼惜春(演:千葉哲也)

きょうがねせきしゅん。調部と美古都さまのお父様です。鳳来国の左大臣

このおかたはほんとにすごい。きっと歴史上に名を残す偉人というのは、惜春さまのような人が多いのでは…?などと勝手におもっちゃいますね。こういう人が民を救う英雄と崇められるのではないかなあ。ほんとにすごいひとなんですよ。説明が難しいですが、ええっと、やさしいおとうさま…なんですけど、大王とはまったく真逆のような、そんなような。賢くて、国の将来を託せるなと思えるくらいすごいおひとです。後半に、惜春さまとサジとの対話シーンがあるのですが、あそこ、やばい、あそこ、やばいです。アクションもなにもない、対話するだけのシーンですよ。あそこ、やばいですから。みてください。クライマックスの次に好きなところです。

 

鳳来国の大王(演:右近健一)

そのままです。おおきみ。名前は出てこなかったので大王と呼びます。個人的にめちゃめちゃ好きなのでry

最初に登場してきた時はなんやこいつ…と思いましたが、彼の発する言葉ひとつひとつから思いやりが伝わる、とてもお優しい大王です。「人には立場というものがあるのだから、偉い人は偉いと言っておかないと、逆に相手に迷惑がかかってしまうよ」と、そんなことを言っちゃうお優しい大王。顔を覚えるのがお得意で、一度見ただけのサジのことまでしっかりと覚えておられるどころか、彼が抱えているものまでなんとなく察しちゃったみたいな、そんなこと仰られておりました。すごい。人のことをしっかり見て、他人の気持ちをよく考えることができるお優しい大王。やさしすぎるからこそ、なにもできなかった無能な大王。きっとこのお方は、国の頂点に立つ立場でなかったら、なにかをなせた人なのかもしれないなあ。などと。

 

 

その他にも魅力的なキャラクターがいるのですけれど、書き出したらもう止まらないくらい魅力的なんですけれど、とりあえずこの人たちは抑えてもらいたいな〜という上記の方を書きました。

おはなし自体はかなしくて、むなしくて、どうしようもないくらい苦しいのですが、キャラクターひとりひとりが歯車となっている素晴らしい作品です。人間はどうして争いをやめられないのかだとか、守られるべき人間の尊厳だとか、名前というものにどんな意味があるのだろうとか、いい意味で色々なことがもやもやと残ります。そんなこんなもありつつ、しかしところどころつい笑っちゃうようなシーンもあっておもしろい、けど、他のゲキ×シネ作品に比べると抑え目…なの…?あ、でも唐突にコール&レスポンスのコーナーが始まったりします。あれはふふってなった。なんぼの?????もんじゃーい!!!!!!!!!!

 

今回の放送だけではなく、過去のゲキ×シネ作品はちょくちょく映画館で上映されます。

ゲキ×シネ - 「演劇×映像」の新感覚エンターテインメント

蛮幽鬼は6月23日に兵庫県のMOVIXあまがさき、それから7月には北海道の札幌シネマフロンティア、愛知県のミッドランドスクエアシネマ、兵庫県の神戸国際松竹、8月には東京都の立川シネマシティにて上映があるそうなので、大スクリーンでその迫力を感じたい方はぜひぜひ!

 

円盤もございます!

『蛮幽鬼』DVD/イーオシバイドットコム【演劇DVD専門サイト】

こちらは本編と7分の特典映像つきのDVDですが、スペシャルエディションでは合計128分の特典映像が収録されております。スペシャルエディションめっちゃいいですよ…めちゃくちゃにいいです。劇団☆新感線初心者であるわたしでも、こういう雰囲気の劇団なんだなとなんとなくわかる。築地巡りとかさいこうに笑いましたし、キャストインタビューもあって少しだけ稽古の様子を見ることができます。裏話もありますよ。なにより、なにより、フルカーテンコールですね。フルカーテンコール、さいこうに感動します。スタンディングオベーション。これを観るための8743円(税込)!!!!!!!!!!!

 

ものすごい長くなりましたね、いったい誰が読むんだろう。書きたいことがありすぎて、これでも一生懸命削ったんですけどね!!!!!!さあみんな、蛮幽鬼をみよう。